【SEVESKIG】Indigo satin no-collar engineer jacket
今から10年前、洋服の知識に乏しかった僕に洋服のことを教えてくれたのは当時取り扱っているブランドのデザイナー達でした。
彼らの教えは今でも活きていて、中でも口を酸っぱく言われたこと。
「織りと編みは全く違う」
布帛と編みの製作過程の違い、使う脳みその違い、デザイナーとニッターの違い。
SACAIが革新的なドッキング・アイテムを発表して以降、「ドッキング」という手法は愛好家の間では見慣れたアイテムになっているが、やっていることはとんでもない。
デニムとニットをドッキング?
今でも分からないことが沢山ある。デザイナーに説明された瞬間は理解したように錯覚するが、自分で作ってみてと言われれば不可能なことのように思える。つまり完全には理解できていない。
この服のニット部分は、当時文化服装学院に通っていたある学生が担当したと聞く。
実際に会ったことはないが、この手編み部分は途方もない作業だったように思う。感謝したい。
そして彼女の今後の活躍を楽しみに、見守りたい。現在はレディースのニットを作っておられるようなので、ご興味のある方は是非。(@crochet_mof)
メンズニットを作る時にはぜひご一報を。
今シーズンのSEVESKIGのテーマは「If we break down the walls」、「もしも壁を壊せたなら」。
ここでいう「壁」は物理的な壁も指すが、概念上の「壁」も指す。例えば国境とか人種の壁のようなもの。そういったものが壊れた世界では一体何が起きるのか。コレクションはここを主題として製作されている。
洋服における概念上の壁を「織りと編みの分断」だと捉えるとしたら、この洋服には納得できる。一本筋が通っている洋服に感じられる。
思いついたとして、それをモノにするハードルは相当のものだっただろう。
SEVESKIGが発表する洋服には外見上の仕掛けもさることながら、作りの過程に苦労が垣間見えることが多い。そして彼らはその苦労を間違っても表に出さないので、想像するしかない。想像すると、愛着がどんどん湧いてくる。
そしてこの洋服が持っている、特有のノリの良さ。
「寒いし一枚羽織っちゃお」なのか「中に一枚挟んじゃお」なのか、とにかくこの服には気軽さが内包されている。
仰々しく作りの良さを訴えかけるのでなく、ノリがいい服。
とっても付き合いやすい服です。お試しあれ〜。