“MIRRORBALL”

写真家・中藤敦彦と SUGARHILL による写真集『MIRRORBALL』

SUGARHILL が 2022 年から 2026 年にかけて発表した 7 シーズンのランウェイショー、ルックブック撮影、ブランドキャンペーン。 そのすべての現場を、写真家・中藤敦彦が⼀貫した視点で⾒つめ続けてきました。 本作は、ひとりの写真家が、ひとつのブランドの時間を 4 年間にわたり記録した写真集です。

中藤⽒が写したのは、完成されたコレクションではありません。ランウェイが始まる直前の緊張感、ショーを終えたあとの静寂、 モデルたちの束の間の表情、光を反射する素材、会場を満たす熱気と気配。ルックブックには決して収められることのない、⼀瞬の情景です。

ストリートスナップを通して都市を歩き続けてきた中藤⽒は、偶然に⽴ち会うことを受け⼊れ、その瞬間を⽬撃者として写し続けてきました。 その視線は、ランウェイの舞台裏においても変わることはありません。 4 年間、同じ写真家が、同じブランドを⾒つめ続けることで初めて浮かび上がるものがあります。 それはコレクションの変遷だけではなく、ブランドを取り巻く⼈々の関係性、積み重ねられた時間、そして、⾔葉では残すことのできない空気です。

『MIRRORBALL』は、SUGARHILL という現象を、⼀⼈の⽬撃者が 4 年間にわたり⾒つめ続けた記録です。

SUGARHILLが写真集をリリースしました。10周年にふさわしい一冊に仕上がっているかと思います。

普段、僕は写真集を手に取るわけでもないし、知っている写真家は一人しかいないし、つまりこの写真集を批評できるほど知識も見聞もない。でも、SUGARHILLは知っている。取り扱い始めて15シーズン、少なくない時間をLOOKを見ることに費やし、デザイナーとの会話に費やし、時には別注を頼んだり、断られたりした。そうしてデザイナーが表現したい世界を少しでも理解しようとしたし、彼がかっこいいと思っていることとカッコ悪いと思っていることがようやく少しずつ理解できるようになった。この写真集は(当たり前だけど)SUGARHILLが表現してきたことがよく現れていると思う。

デザイナーは常に商業と表現の間を揺れ動く。どっちがどっちということではなく、単にグラデーションの話である。作りたい洋服と売れる洋服、作りたいけど売れない洋服、作りたくないけど売れる洋服。”売れる洋服”っていうのが本当にあるのかは疑問だけど、割とみんな普通の服のことを売れる洋服って言ってるだけな気もする。ブランドが写真集を作るのは何のためなんだろう。売れるか売れないかで言ったら売れないと思うけど、売れるとか売れないとかではなくて、ブランドにとって必要な行為だったのではないかと思う。僕らのお店にもこの写真集は必要だった。

この写真集を開いてみて、思い出に浸ることもあったし、初めて知ることもあった。アホみたいな感想だけど、なんか東京っぽかった。畑も田んぼもなくて、光は太陽ではなくて蛍光灯で、土じゃなくてコンクリートで。これは僕が青森県出身だからかもしれない。蛍光灯にもビル群にもコンクリートにも冷たさを感じていたあの頃が蘇った。東京に行くようになって、東京は冷たい町だと思わなくなった。田舎にいるときは色々な関わりが多かった、自然も人も個人をほっておかなかった。東京にあるものは、本当にそこにあるだけで、冷たいわけではなかった。ただあるだけだった。田舎にはただあるだけのものが少ないのかもしれない。

僕はブランドの写真集を見て、地元-東京の関係性についてを考えるというよく分からないことになってしまったけど、手に取った人は何を考えただろう?何も考えずにカッコいいと思ってもらえたらこれ以上なく嬉しいことだし、何かを考えたらお店に感想を伝えにきてください。少量ですが、まだご用意ありますので、是非。


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