
Working Class Theaterが映画だとしたら、その主人公は工場で薄汚れながら働き、ひょんなことから上流階級の女の子と恋に落ちて、食事に誘われる。当然、相応しいマナーも服装も分からないので、慌てる。友人や家族にマナーや服装のことを聞ける訳がない。男のプライドがある。それでも来たる日に備え、ジャケットを用意する。そのジャケットは光沢もなく、重量感のある生地、パッチポケットで誂えており、上流階級との食事の場に相応しいものではない。マナーも分からないので、結果としてその食事会はあまり上手くいかずに終わる。失敗してしまったな、やっぱり分不相応の恋愛はするべきじゃなかったな、と感傷に浸りながら、いつもの工場勤務へ戻っていく。数週間後、携帯電話にメールが届く。「また一緒に食事をしませんか?」
完全に妄想なんですが、この劇中に出てくるジャケットってこれです。

Bed jw Fordから毎シーズンリリースされるTeam Jacket。今シーズンのそれは、「定番だから」という枠組みを超えたニッチ・アイテムだと思っている。
重量感のあるウールキャンバスで、パッチポケット。襟を立てて、ストイックな風情でも着れる。テーラードジャケットであるが、テーラードジャケットでないような。一般的なドレスウェアの範囲は完全に逸脱していて、かといってカジュアルかと言われればそうではないような。ストーリーも感じるし(これは僕だけかも)、制服的なストイックさもある、面白い服。

と、つらつら書いている間に完売しました。
このブログに意味はあったのだろうか?
妄想を披露して、ほんの少しの恥ずかしさだけが残っている。